あの三人と出会ってから6ヵ月が経過しようとしている。
当初、彼らと仲良くやっていけるか不安だった。だけどそれを表に出さないように努めた。彼らの心が敏感な事は知っていたからだ。 今ではかなり彼らと親しくたれたと私は思っている。そして彼らも私を(たぶん)慕ってくれている。 でも本当はそれだけでは 無いんじゃないかと思ってる。 「」 そう呼ばれるたびにあの時に時間が戻ったんじゃないという錯覚を受ける。 でもそれは錯覚でしかない。 私の勝手な思い込み。 今おきている事は全て現実で、あの事も現実なんだから…。 今の時刻は深夜の3時40分。オルガ達にお休みを言ってから4時間が経つ。 たぶんオルガはまだ本を読んでるな。それからクロトはゲーム。たぶんラスボスと対戦してるあたりだろう。シャニは…絶対寝てるな。あいつは時間とか関係ないからな…。 仕事を終えたパソコン。ふだんなら電源を落とすところなんだけど、今日はある野暮用でまだ電源を入れたままだ。 パソコンの画面はデータを読み取っているのが映し出されている。しかも軍のシークレットページの…。 本当はこれやっちゃいけないんだけどね…。 だが見つからなければ、少しぐらいは平気だろうという考えから私は作業を進める。 読み取りが完了したらしく、画面が切り替わった。必要なページに行くための鍵を探す。 相変わらず面倒な作りになってるなぁ…。 多少呆れながらもキーを叩きつつ、目的のページに繋ぐ。 程なくしてパスワードのページに繋がった。 え〜っと、パスワードは確か"アレ"だったよね。
Enterキーを押すと、画面にはごくシンプルな画面へと切り替わった。 まずはオルガからでいいかな? Oで検索し、いくつものファイルが出てきた。 私はスクロールを下げていき、オルガの名前を探す。 γグリフェプタンを投与された者の過去は全て抹消されているはずだった。 なぜなら、彼らは生体CPUというMSのパーツとして、登録されているからだ。 確かに、表からデータにアクセスするとそうなるだろう。 しかし個人データが全て削除されいると言うのは、あいつ等が流した嘘でしかない。 現にこうして私はオルガの過去をほんの少しだが見ている。
ブルーコスモス?アズラエルの部下か…。
行方不明…。多分、もう生きてはないわね。残念だけど…。
両親共に行方不明?おかしいわね。原因は何かしら? ざっと3人の情報を見たところ、肉親が生きていない又は生きている可能性が少ないという点で、この3人は共通してる。 あの頃と違って、志願者なんているはずないのだから、当然と言えば当然なのかもしれない。あの事件のお陰で、ほんの少しだけど この軍の中にγグレフェプタンの情報が流れたからな…。 初めっから分かっていたら、その者たちもいなかったでしょうけどね。 私は細心の注意を払って私がアクセスした形跡を消すと、パソコンの電源を落とした。 脇に飾ってある写真に視線を移すと、幸せだった頃の私が笑いかけてきた。 写真たてのガラスに指先が触れると、ガラスの冷たさが伝わってきた。 「ごめんね…」 謝って済む問題じゃないのは分かっていたが、そう言わないと今の自分が崩れてしまいそうで私は、何度も繰り返した。 「ごめんね。本当にごめん…」 こんなに弱い自分でごめんなさい。 気付いてあげれなくてごめんなさい。 救ってあげられなくてごめんなさい。 あの頃と変われなくてごめんなさい。 謝罪の言葉は尽きることなく、全て寂しい闇へと吸い込まれていった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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