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結局、オーブはこっちの申し出を断ったらしい。
アズラエルじゃないけど、それは俺達にとっても都合の良い事だった。
だって、折角あれに乗る事が出来るんだろ?プログラムなんかじゃなくて、実戦で。
それって、最高じゃん?

パイロットスーツに着替えて、MSの置いてある倉庫まで行く。
そこにはいつもの白衣を着た男達が立ってて、俺は薬を受け取ると、一気に飲み干した。
相変わらず、美味しくない薬。
薬を摂取し終えると、俺達は各々のMSに乗り込んだ。
コックピットに乗り込み、発進の準備をする。

『あー、きみたち?』

と、言う、オッサンの声が届いた。
目の前のモニターには、別に見たくも無いオッサンの顔が映し出された。

『ああん?』
「へぇ?」
『はぁーい』

回線が開かれているから、他のMSに乗っているオルガとクロトの声も聞こえる。

『マスドライバーと"モルゲンレーテ"の工場は、壊してはいけません。わかってますネ?』

マスドライバーと"モルゲンレーテ"の工場"は"って事は…。

「ほかはいくらやってもいいんだろ?」
『ですね』

俺の言葉に、嬉しそうにクロトも言う。

『うっせーよ。おまえら』

オルガの言葉に、うっせーのはお前だって言いたかったが、それすらも面倒で、俺は口を閉じた。
薬が効き始めたらしく、段々とテンションが上がっていくのがわかる。

そう言えば、結局あれからアリスとほとんど顔を合わせてない。
別に俺が避けていた訳じゃない。ただ、アリスが忙しかっただけ。

『3人とも聞こえる?』

再び作業を始めた所で、聞きなれた声が聞こえた。アリスだ。
画面にも映し出されたから間違い無い。

『えっ、アリス!?』
「聞こえてるよ」

驚いているクロトの事は無視し、そう答える。

『なんで、お前がそこにいるんだ?』

それに水を差すように、オルガの怪訝な声がした。
別に、アリスの顔が見れたんだから、そんなのはどうでもいいとおもったが、オルガは違ったようだ。

『ちょっとだけ我が侭を言ってね』
アリスは小さな子どもが言うように、えへっと笑った。

『わかってると思うけど、気をつけて』

真っ直ぐに俺を見て、そう言われた言葉のどこを疑う必要があるのか、俺はオルガに言いたい気分だった。

「わかった」
『もちろん』
『当たり前だろ、そんなの…』

俺らが答えると、アリスは最後ににこっと笑い、画面が消えた。

「では、始めましょうかネ」

アズラエルの言葉を合図に、回線を通って発進の許可が下りた。
まず俺のフォビドゥン、次にクロトのレイダーが出て、レイダーはMA形態へと姿を変え、その上にオルガのカラミティが乗った。
俺らは、オーブの本土を目指し、MSを操縦した。
すでに、他のMSや艦が戦闘を開始していた。無数のミサイルたちが、空中を飛び回り、いたるところで爆発を起こしている。
クロトとオルガは、白い艦に狙いを定めたらしい。
それを確認すると、俺は一旦水中にもぐった。
レイダーがいないと空も飛べないカラミティとかと違って、俺のフォビドゥンは単独で飛行も水中も進めるから、相手の事なんか気にしなくていい。実に快適だ。
水中を進んでいると、急にレイダーが勢いよく落下してきた。
俺はレイダーが上げた水しぶきを逆に利用し、飛び出した。
88ミリレールガン『エクツァーン』を一発ぶっ放し、近くにあった艦を1つを重刎首鎌『ニーズヘグ』で上の部分を刈った。
続けてその真っ二つに切り裂くと、いとも簡単にその艦は爆発し、俺は宙に再び戻ると、後ろから白いMSが追いかけてきた。
けどそれも、何かキレながら叫んでいるクロトが、破砕球『ミョルニル』をぶっ放したから、そっちに気がそれたようだ。
頭の脇から、無数の弾丸がレイダーに向けて発射されている。それをクロトは避けながら、『ミョルニル』を放とうとしたが、その目の前に俺は割り込んだ。

『邪魔すんな、シャニ』

回線越しに、クロトにケチをつけられた。
なんか勘違いしてるみたいだけど、あれは俺の獲物なのにね。

「じゃまは、てめぇだよ」

『エクツァーン』を撃つが、白いMSはそれを旋回しながら回避し、そしてビームを撃ってきた。だけど残念。俺は避けなくても、それくらいの攻撃は回避出来るんだよ。
エネルギー偏向装甲『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』を発動させると、ビームは機体に届く前に、大きくそれた。
相手の反応が手に取るようにわかる。どうせ困惑してるんだろ?
その隙を突いて、クロトが『ミョルニル』で攻撃を仕掛ける。
白いMSはクロトの攻撃を避けつつ、何度も、俺にビームライフルを撃ってくるだけど、全弾回避。そしてクロトが間髪をいれずに攻撃をする。
それでも全く弾は当たらないから、いい加減にムカついてくる。それはクロトも同じようだ。

『いいかげんにっ』
「うざーい」

珍しく、意見が一致した。
そう思っていると、下からオルガの125ミリ2連装高エネルギー長射程ビーム砲『シュラーク』の援護(かどうかはわからないけど)射撃があった。
それにリズムを狂わせたのか、俺たちのビームなどを避けていた白いMSは、見事にクロトの『ミョルニル』を食らって、弾き飛ばされた。
そして俺も相手に反撃の隙を与えずに、『ヘーグニズ』を白いMSに引っ掛けて、叩き落す。少し落下したところで、体勢を建て直したけど、そのすぐ目の前にクロトが詰め寄る。

『終わり』

クロトの嬉しそうな声が聞こえた。ずるい。それは俺がやりたかったのに…。
二機の距離的に、回避することは無理。ビームが白いMSに向かって放たれる。
次の瞬間、白いMSは派手に爆破するはずだった。
しかし、爆発は起こらなかった。白いMSを庇う様に、新たな赤いMSがシールドでビームを防いだからだ。
唖然としている俺たちに向け、その赤いMSはライフルを放った。

『このぉ、なんだてめぇは』

クロトの奴が、MA形態になって二機に迫る。

「へぇー、まだいたんだ。変なモビルスーツ」

なんで、今頃こんなMSが出てきたかはわからないけど、敵は多ければ多いほうが良い。それだけ、多くの奴らを殺せるから。
クロトに続いて、あいつらに向かってフォビドゥンを進める。
始め、クロトが赤いMSに突っ込んでいく。ビームを避けた赤いMSが、クロトの機体に切りかかる。周囲には火花が舞い、二機が離れた所で、俺はすかさずに追いかける。
赤いMSを追っていると、俺たちの間に、白いMSが割り込んできた。 ビームサーベルによる攻撃を、上に飛んで避ける。
クロトが赤いMSに攻撃をし、白いMSの気がそれている隙に、誘導プラズマ砲『フレスベルグ』で狙う。

「うらぁぁぁああ」

だが、すんでの所で上に逃げられた。
そこをクロトの『ミョルニル』が狙うが、赤いMSが邪魔をする。クロトは邪魔をされた赤いMS相手に攻撃を繰り返している。
一方、白いMSは効かないのをわかっているにもかかわらず、俺に向かって何度もビームを撃ってくる。『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』にとってそれは、なんの効果も無い。全てのビームは横にそれていく。
良い感じに、相手に迫っていると、下からカラミティの『シュラーク』が発射された。
邪魔。っうか、うざい。
そう思っていると、カラミティは飛翔しながら、再び『シュラーク』を撃ってきた。

『邪魔すんなオルガ!』

まぁ、クロトの言葉も最もだ。
だけど、そっちがその気なら、俺も勝手にしていいんだろ?

「ふっ。ふふふっ」

どこかの艦の上に不時着したカラミティは、また下から『シュラーク』を撃ってくる。

『うっせぇーよ』

それはお前だけどな。
そう思っていると、ビーム砲がこっちに向かって来たから、すかさずに『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』で、回避する。

『うわっ。シャニ、このやろう』

反れたビームに当たりそうになったクロトが、文句を言ってきた。

「ふんっ」

どうせなら、そのまま当たっちゃえばよかったのに。

確かに、俺たちの境遇は似ているけど、仲間ではない。
まぁ、アリスが来てから、少しは話すようになったけど、仲間だと思った事はない。
だって俺たちがお互いを仲間だと思ったら、それは傷の舐めあいと同じことだから。
そう言えば、その事をアリスに言ったら、凄く悲しい目をされたっけ。
アリス…。早く会いたいな。

ちょっと気がそれた間に、赤いMSが連続で弾を撃ってきた。
そして白いMSも、ビームを撃ってくる。

「ちっ」

一応、防御はするが、これじゃあ埒が明かない。
そう思っていると、急に目の前に赤いMSが現れた。
次の瞬間、強い衝撃を受けた。赤いMSに蹴り落とされたようだ。
急いで体勢を立て直して、全体を見渡す。br>クロトがMA形態で突っ込もうとしている。
だが、二機の息のあったコンビネーションプレイの前じゃ、意味が無い。
なら、俺は意表をつくしか…。
あいつらに気づかれないように、上に上昇する。『ニーグヘズ』を構え、やつらの真上から一気に降下した。
もう少しの所で気付かれて、避けられた。
急いでやつらに向き直り、白いMSのビームライフルを『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』で回避する。

「ふんっ」

少々勝ち誇ったように笑うが、異変に気付く。

「うんっ?」

ふと上を見ると、太陽の光の中から赤いMSの背中に付いていたパーツが降下してきた。正面から突っ込んできたかと思うと、それは頭上を抜けて後方へと飛んでいく。
そして視界が開けた時、目の前に白いMSが詰め寄っていた。防御する間もなく、至近距離でレール砲の攻撃を受けた。
少し後退したが、すぐに体勢を立て直して、白いMSを追う。
クロトが白いMSにビームを放つが、それは白いMSに防御され、そして後ろから逆さの対セで赤いMSがライフルを打ち返してきた。
そしてそれを避けたところで、如下から『シュラーク』の砲撃が飛んできた。

『オルガっ』
『うざいんだよ』

艦の上にいたオルガが、急に宙を跳んだ。

『シャニ、てめぇもだ』

そう言って、俺めがけて『シュラーク』を撃ってきた。もちろん、そんなのは意図も簡単に回避出来る。それにしてもオルガって、『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』の性能を知っているくせに、馬鹿じゃん。

『うざいのはお前だ。オルガ!』

オルガに向かって言うクロトに、激しく同意する。
俺も一言文句を言ってやろうと思ったところで、嫌な声が回線から聞こえてきた。

『うっ、あぁがが』

続けて、俺の体にも強い衝撃が襲ってきた。

「うっ、ああっっ。」
『うわっ、くふっ。あぁぁ…』

回線を通して、クロトとオルガの苦痛に満ちた声が聞こえてくる。
俺と同じで、あいつらもどうやら薬が切れたようだ。

「はっ、あああっ」

体が痙攣を起こしている。
くそうっ!たった、これだけしかもたないのかよ。この体は…。

『ちきしょう。時間切れかよ。クロトっ』
『くっっそう!!』

クロトのレイダーがMA形態へと姿を変え、カラミティを乗せて艦へと向かう。
一刻も早く薬を摂取しないと…。
俺はその事だけを考えながら、フォビドゥンを操作した。



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